東京心覚の解釈妄想怪文書

[文章]東京心覚の感想とか考察とか解釈とか

長文慣れないくせにふせったーにメチャクチャ書いたのを持ってきました

ライブの感想はこちら

目次

すごかった、そしてぜんぜんわからなかった

天保江戸推しで東京心覚で初めて刀ミュ観たんですが、水心子のこと増して好きになったので良かったな…
清麿さんも水心子を陰から見守っているポジションなので目立ちにくいとこではあったんだけど、見返すほど冷静に常に水心子の最善を取ってて伊達に親友を応援してると称されてねえな…というかんじですごい人だったな…

そしてまあ話が全然わからない

私がアホなのか?って不安になるくらい全編わからなかったんだけど
初演終了後のツイッターで「東京心覚 わからない」ってサジェストできてたくらいかなりの人がわからなかったっぽい
このメディアのレビュー記事なんですけど → tokyo.whatsin.jp/634360[※サイト閉鎖してました]
「明確なストーリーラインが提示されるわけではないが、スッと胸に染みいるような音楽やハッとする台詞は必ず見つかる。」というのにとても同意してて、
終盤の歌と演出には圧倒されたし、自分の答えを見つけた水心子の台詞は真摯で優しく、言葉としても美しかった
しかし至るまでの物語の経緯がとにかくわからない
歴史に残らない敗者や小さな者たちも確かにそこに存在していて、そしてそれを水心子は心に覚えているということ
その主題は多分ほぼ直接言われたくらいなのでわかる
しかしこの話は何が起こって何をやって何がどうなったのか全然わからないんだこれが

自分の丸腰も悪かったかもしれないけど、出てくる刀剣がほぼミュ新顔だったし一切あらすじが出てこないので予習範囲もわからんし~って思ってたら、事前に一言も出てこない人がそんな、こんなキーパーソンで、その、
三日月宗近~~~~~~~~と思いました
そんな、そんなことある?三日月宗近周辺全然わからんかった

ミュ追ってる人でも苦戦してる様子を見たのでわりと根っから難しい作品の可能性がある(構成が歴代よりかなりプログレッシブだったみたい)
心覚のみ履修の状態で長文書くのも後で恥ずかしくなりそうなんだけど(心覚のアーカイブ期間が終わったら過去作観ます…)、
点と点を自分なりに繋いでみたくなる作品でもあるので、これは何が起こった作品だったのか、考えるの楽しいので書きます

この話はなんなのか

放棄された世界でなんか(?)あって仕事の意義や自分を見失ってた(?)水心子くんが三日月さんとの衝突を経て(?)救済の決心を持って自分の考えた作戦行動(?)のあと目的も果たし意義も掴み東京の歴史も守った(?)

これだけの文章にこれだけの(?)という気持ちが出てくる

  • 水心子の迷いと答え
  • 東京の行く末、行った末

の2つの話の軸が多分おそらくあると思ってて、
中盤以降の水心子の『しばらく私の思うようにやらせてもらえないだろうか』以降の出陣によって
『彼(三日月)の背負っているものを軽くする』と同時にクライマックスで自分の答えも掴んで、三日月さん直々に認めてもらったりしたけど
そのあと『歴史は守られたのかな』『どうだろう、これからなのではないか?』とか言ってて
あの行動は歴史を守ることでもあったのか!?いつのまに両方解決したの!?ていうかそもそも東京はどうなってたの!?ぜんぜん言及なかったが!?何!?!?という
水心子の精神面関係以外のストーリーラインがわかりづらいところはある(水心子の精神面関係がわかりやすいとは言っていない)
そのあたりが「何がしたい話なのかわからん」とけっこう見る原因の一つでもあるような気がする

東京の顛末

東京の赤線持ってきた遡行軍と戦ったあと『歴史は守られたのかな』『どうだろう、これからなのではないか?』からの『でも、行きたい場所に行って、会いたい人に会って、おいしいものを食べる。それができなくなるだけでも、歴史は変わってしまったということになるんだよね』は明らかにコロナ禍の現代を指しているように思う
言葉をそのまま拾うと「歴史修正を阻止した結果、コロナ禍程度にとどめられた」というのが東京の顛末になると思う

『(歴史を守るためには)笑顔になれることを増やせばいい』と2205年を本拠にする水心子が言ってくれるということは、2021年から2205年までにあるバッドルート分岐は疫病そのものではなくて「笑顔や希望が失われること」なのかなと思う
希望のあることですね
だから大典太光世もボイパを披露してくれるってわけよ

東京はどうなってたのか

冒頭の東京(現代)と水心子の『盗まれた時間、いや、意識か』『どこで間違えたのか…』という台詞、
かなりわからない
「盗まれた」という言葉がここにしか出てこないので何度観てもまじでピンとこない 何の話なのか…

ひとまずこのシーンは
ガヤガヤした現代東京に遡行軍の手が入って雑踏の音がなくなる→赤い線が張られる(水心子はなんかびっくりしたかんじで突っ立ってる)→砂礫に覆われる(『どこで間違えたのか…』)→女の子に出会う
一瞬にしてすごい情報量だったのでついてけなかったんだけど(演劇ヤバ)、この場で水心子は賑やかだった東京の雑踏が荒廃し砂礫に覆われた地になるまでを見てきたのだと思う

(脇道)そしてこの砂礫ボロボロ東京が水心子のグチャグチャメンタルの原因かな?と思うんだけど、
・場面ラストに出てくる清麿もこの地を踏んでるので『水心子は放棄された世界で何を見たのかな?』って疑問になるか?
・三日月さんとの因縁はここのどこから出てきた?それとも赤線東京以外の世界?
みたいなよくわからないところがある、この物語は説明があまりに少ないのでよくわからないところだらけですが…)

  • 遡行軍によって東京に赤線が張られていくのを見ていることしかできなかった冒頭の水心子
  • 東京の赤線を張ってる遡行軍を切りに行ったラストの水心子と刀剣たち

この変化が大事なとこなのかな?と思ってきている

『しばらく私の思うようにやらせてもらえないだろうか』とは何だったのか

何だったんですか?

中盤からの転換点、ずっと惑って彷徨っていたような水心子が決意を固めて行動しはじめるところ
決意の内容、具体的な目的や行動内容の説明がかなり少ない(してるかもしれないんだけど、わからないため…)ところがほんとに高難度を実感する
羅列していくと、

  • 作戦説明(江戸の結界、結界と祈り、結界の崩壊について)
  • 19世紀に遡行、勝海舟へ問いかけ
  • 17世紀に遡行、7つめの結界完成、天海への問いかけ
  • 15世紀に遡行、道灌への問いかけ
  • 10世紀に遡行、将門への問いかけ
  • エンディング1(花の歌)

問いかけパートは主題に関わるところ、『歴史は勝ったものの残したものでしかなくて、本当のことなんて誰も覚えていない』ということを理解して悲しく思いながら、それでも水心子は本当のこと、残らなかった声や語れぬものの存在のことを心に覚えておこうと思ったんだと思う
命に限りのある者たちの声を、命に限りのない物たちが聞いていてくれているということ、刀剣男士だからこそ差し出せる希望だと思う
そしてその希望は確かに救いだろうけれど、『花は生きるために美しく、生きるために朽ち果てる』って定めを百も承知である花たちには不要の返報かもしれないなとも感じていて、だから刀たちの気持ちは『これは問わず語り』なのかなとか、
とにかく終盤の圧倒的な表現や演出、メッセージ性は本当に凄かった
しかし
結界の話とはなんだったのか

思うようにやらせてもらう出陣の初手で(珍しく)説明パートがあったけど、

  • なぜ幕末へ?→『失われたものと、友のために、この時代から問い直す必要がある』
  • 『作戦を説明する、まずはこれを見てほしい』
  • 鬼門封じ、北斗七星、家康の場所など大掛かりな結界の存在の説明
  • 『(重要なことは)ここまで大掛かりな結界を張ろうとした、天海僧正の、思い、願い、祈りか』
  • 『私は寛永寺が焼け落ちることで、江戸の結界が崩れたのだと思った だが…

「だが…」の答えが名言されないまま(してるかもしれないんだけど、わからないため…)満足した感じで本丸に帰ってしまった
「だが…」って何だったんだよ
あと「失われたもの」も「友」も何を指してるのかよくわからないんだよ
もっと説明してくれよ水心子
「だが…」じゃないんだよ

結界とは何だったのか

結界として作中に出てきた鬼門封じ、将門関係の北斗七星は現代でも歴史や伝説として残っているもの(=たぶん正史の範疇)
鬼門封じのひとつを担う寛永寺が焼け落ちたことも史実
水心子は中盤で東京の滅亡の原因を寛永寺の焼け落ちによる天海の結界の崩壊だと推察したっぽいけど、
作中で刀剣たちも協力した「鬼門封じと北斗七星の完成」とその後の「寛永寺の焼け落ち」を史実として経たのが我々の2021年なので、
それでもその2021年の先が滅亡することに対して『だが…』だったんじゃないかなと思っている
もう難しくてこのへんから妄想の話になってくる

ところで「結界」「線」「境界線」はくり返し出てきたモチーフ
とりあえずいくつか抜粋

  • 大典太「結界は見えない線(要約)」
  • 雲さん『線なんて引くからあっち側とこっち側で分かれちゃうんだ』
  • 水心子『私には必要なのかもしれない、境界線が、自分と自分以外のものが曖昧に』
  • 水心子『誰かが名付けてくれたから概念を持つ名前の線、誰かが呼んでくれるから存在している』
  • 水心子『誰も居なくなってしまったら線は無になる』
  • 水心子『重要なのは想いのほうだと思ったんだ、ここまで大掛かりな結界を張ろうとした、天海僧正の、思い、願い、祈りか』
  • 水心子『結界は人の心の中にしか存在しない』

いろんな場面で出てくるんだけど、

  • 良い文脈でも悪い文脈にもなりうる
  • 他者の認識がないと存在しない曖昧なもの

という性質があるんじゃないかなと思う

そしてここで、水心子のガタガタメンタルというか自分の存在の感覚を揺るがされてきた描写のなかでの強い問いかけとして
『じゃあ、誰にも覚えていてもらえなかったら、誰からも忘れ去られてしまったら、それは初めから存在してなかったってことなのか』
というものがあるんだけど、この台詞全体の雰囲気?とか性質?みたいなの?が「線」にリンクするものだと思う

花とは何だったのか

花は大事なシーン(そしてそれらはたいてい抽象的で難しいシーン)でめちゃくちゃ出てくるので端折りながらだけど、
『名もなき草』や『名前もなく咲き誇る』という表現でこの物語に存在できている時点で、
『誰かが呼んでくれるから存在している』とされる線とは対極にあるものとして出てきていると思う
『誰も居なくなってしまったら線は無になる』に対して
『花の香り、歌の調べ、残らなかったものはなかったものなのか? そうではあるまい』(将門さん)とかもそういうかんじ

中盤の水心子と三日月さんが対峙するシーン(あのシーン1割くらいしか理解できてない)で
三日月さんの見てきた記憶?が水心子くんに流れ込んでくる?場面?で
水心子くんはいろんな時代のいろんな人を見ながら『これは蓮の花、ちがう、あれは竜胆、あれは葵、都忘れ、鳥兜、山吹、桔梗、』『あの花はあなたなのか、色とりどりの花』ということをつぶやくところがあります
水心子くんの幻視?した花たちが示す「あなた」がどういった意味で三日月なのか、それとも過去の人々への呼びかけなのか、はたまたいつのまに現れた少女のことなのか、ここが現状まじでわからん、ミュ三日月を知らないだけなのか心覚を観る文学センスが足りないのかわからんけど本当にわからん

わからんが大事なのはここでの悟りがあったからこそ、
『誰にも覚えていてもらえなかったら、誰からも忘れ去られてしまったら、それは初めから存在してなかったってことなのか』と思ってた水心子くんが、そのあと
『花の香り、歌の調べ、残らなかったものはなかったものなのか? そうではあるまい』との問いに力強く頷けるようになるというところだと思う

この三日月さんとの場面以降、水心子がガチャガチャいいながら目眩を起こすところがなくなるんだけど、
自分のことを「誰かの認識に依存する存在」という線の属性寄りの認識から、「残らなくてもそこにいる」花の属性に近い認識で地に足がついた変化があったのかなと思う
この前に線→文字というモチーフが示されたのを踏まえると、文字(=記録、史料、歴史)に残らない存在であろうと、決して無かったことにはならないことを悟ったくらいまで具体的に言ってもよさそう
三日月さんとの場面のことは1割くらいもわかりませんが……

ラストの東京は何だったのか

たびたび出てきた女の子に関しては、『きっとそこで頑張っている』いろんな時代の名の残らない民草たち(私たちもその一部)の象徴だと思う
ラストの東京でその子に呼びかけるシーンはすごく大事な場面だと思うんだけど、
急に刀剣男士→観客っぽいメタ的な台詞も急に入ってくるのでびっくりした(小学生みたいな感想)
(『君はここに来たかったんだね、でも来れなかった』『もしかしたら来ないことを選んだんだろうか』『どんな理由であろうと君の決断を尊重するよ』とか
『君の想いは届いてるからさ、ありがとう』あたりは作中との理屈づけが難しいしほんとに我々への声かけに聞こえる)

作中の要素を絡めて読めそうなのは『結界は人の心の中にしか存在しない』『閉ざさないでほしい、傷つかないでほしい』あたり
前まで考えたことを合わせると、
「何かを守ることも切り捨てることもできる、人の心の結界の力を、どうか自分を閉ざしてしまうことに使わないでほしい」
という水心子の願いで、そしてそれは東京滅亡を止める鍵だと最後にフワッと示されたのかなと思う

『閉ざさないでほしい』の後、水心子たちは東京の赤線を切りに行ってホワイトアウトします

まとめ、ストーリー妄想解釈

水心子くんは最初の東京で、遡行軍の手で東京に赤線が引かれていくのを目の当たりにしながら立ちつくし、東京が滅びて砂礫の地になった後も『なにを間違えたのか…』ってわけがわかってなかった様子だった
遡行軍がコロナ禍を引き起こしたかは不明だけど、遡行軍による歴史改変の決まり手はなんかこう絶望を煽るなどして「東京を赤線の結界で閉ざしたこと」なのだと思う

今までの歴史改変のセオリーは戦場や政治の場とかのターニングポイントにおける
勝者/敗者といったキーパーソンへの干渉によるものが多かったと思うんだけど、
いまこの現状からの「人と人との日常的な関わりの中で広まる感染症によって人々が心を閉ざす」というルートはたぶん特異なので、
そこが改変を阻止すべき転換点だと水心子は気付けなかったのかな?と思っている

わけがわからないまま東京の滅亡を見て打ちのめされながらも、任務の中で東京の結界に行きついた水心子は、
東京滅亡の原因を寛永寺の焼け落ち(=結界の具体的な崩壊)だと一旦考えたみたいだけど、
「だが…」案件の通りはずれだったのだと思う

三日月さんとの対峙や過去の人々への問いかけによって、
「結界(線)の本体は人の想いであること」
「歴史の敗者や声なき民草たちの声は記録に残らずとも確かに存在していて、想いは歴史を繋いでいる」ということを掴んだ水心子は、
冒頭の東京滅亡の原因が「人々の絶望による結界」であることに気付けて、
ラストで再び東京に立った時に『傷つかないでほしいんだ、この時代に、現実に、君自身が選んだことに』と願いながら
東京の赤線結界を断つ戦いができた、という話だったのかな~と妄想しています

(※ミュ宗近をこれでしか知らない状態でこれ以上妄想するのかなりアレなんだけど)
例えばもし「敗者に友として寄り添いつつも、歴史の大河を堅守する」といった三日月さんの機能では、どうしても2021年の赤線東京案件から滅亡に行きついてしまうのだとしたら、
三日月さんの影を追い、その悲しみに触れて、「大河から外れた敗者も、敗者ですらない小さな支流の名もなき魚たちの存在も、心に留めて慈しむ」ことを知った水心子が、無名の不特定多数の心を守ることで東京を救うことができた物語だったのかなと妄想強めだけど考えています

そのほか

書きつづりながら作中の情報を力づくて繋げてなんとなく自分の思うストーリーラインが見えてきたんだけど、
きっとこの話は点と点の間にいろんな人がいろんな形の線を見つけられるんだろうな~と思う
そして点と点を繋ぎながら観ないと見えづらい話なので、能動的に触れないといけないやや挑戦的な作品なのかなとも
なんにせよ優しい水心子は今の時代の私たちにも心を伝えようとしてくれたので、私も頑張って生きます(チョロい宣言)

台詞の書き起こしとかしたりしながら観てこんな長い怪文書が出てきてしまったんだけど、
しかしまだまだわからないところがある
ヤバ
この話一生わからないかもしれん

・水心子の目眩はなんだったのか
→場面転換を表にまとめつつ観たりしたんだけど三日月対峙まで登場毎にほぼ目眩おこしててヤバい
他者の認識に依存した存在なのに他者の居なくなる世界を見たことでの存在意識の揺らぎ、
短期間に時代を巡りまくって時間酔いみたいな説とか思いつくけどもうちょっとなんかハッキリまとまらないかな…

・『江戸というのはこんなにも化け物が跋扈する時代なのか?』『どうかなあ?そんなこともないはずなんだけれど』
→否定なのか思わせぶりなのかぜんぜんわからねえ…
北斗七星の話が実在するので今回は史実沿い判定で考えてたんだけど江戸が史実外に分岐してる匂わせの可能性もあるようなシーン
源清麿がミステリアス体質であることの弊害(難癖)

・水心子くんと三日月さんの関係ってどこからだったのか
→このお話って三日月さん関係は本当に不親切でアンフェアに思う(ストレート苦言)
なにか会話をしたようなそぶりがある(『歴史の流れは、大きな川のようなものだとあなたは言った』とか)のと、
清麿さんが水心子について早くから三日月さんに目星をつけている(この話で初めて三日月さんの名前が出てきたのは清麿が大典太に三日月のことを尋ねる場面)
という部分から、作中の描写外でコンタクトがあったのかな?まったくわからない

・三日月宗近とはなんだったのか
→なんか何?この人??鹿目まどかみたいになってるんですか??
心覚が初ミュだったので過去作観てきます…

・『僕には世界がいびつに見えてた、見上げる月はいつも三日月だった』
→ここ本当にわからない
『見えていなくても月はそこにあるんだ。まあるいはずなんだ』で背景に満月が見えるようになったのは、
「記録に残らなくても確かに在ったもの」に気付いたことに近いのかなと思うんだけど、
いびつな世界って何だ? あとどういう天体なんだ?

・ああ、どうやら俺たち江は…(暗転)
→江は何だったんですか????????

源清麿の話していいですか?

清麿さん、もともと原作でも「水心子の親友」っていうのがけっこうな割合のアイデンティティになってる印象で(そこ以外のいいとこもたくさんあるけど!)、
この話でも相方の水心子くんが主人公としていろいろ悩み彷徨ってるのでやや地味な役回りの印象だと初回は思ったんだけど、
むしろそこで地味に立ち回ってることの良さが染みわたってきた

前半の水心子は他の仲間たちから見ても明らかにヤバいくらいヤバくなってるんだけど、
清麿さんからその点に関して水心子に働きかけたことって『なにか僕にできること、ある?』って一度尋ねたことだけだった
水心子に何があったのか清麿は当然気になってる(気になるので実際主には訊きに行った)んだけど、本人が打ち明けない以上それを尊重して「どうしたの?」「何があったの?」みたいな問いかけをすることはなかった
絶対心配でしょうに毎回確実に本人の気持ちを優先した選択肢を取る冷静さと胆力

本人に余計な干渉はせず、でも主には直接訊きに行くし、
『清麿、知らないほうがよいこともある、私はそう思っています』とか怖い釘刺されても(これ本当に怖い)
そのあと目星をつけてる三日月さんについてしれっと大典太に嗅ぎ回るところ、できる限りの手を抜かない意志が感じられて強い

三日月さんとの対峙の後に清麿さんが主に向かって『お願いがあるんだ、水心子をどうかこのまま見守っていてほしい』『彼は必ずここに帰ってくる』って頼みに行ってるんだけど、
例えば三日月さんへのカチコミ含めてわりとフラフラ単独行動ぎみだったのの対応が講じられてたりとかしてて、それを控えてほしい進言だったのかなと妄想している
作中で水心子はグチャグチャメンタル周りを人に打ち明ける様子がないので何のために居なくなってるのか清麿も知らないっぽいと思うんだけど、
その状態でも水心子を信じて、彼がやりたいことやってるのを邪魔せず待っていようとできるのが強い
この人は一瞬も水心子への信頼が揺るがない、覚悟のようにすら感じる

そして三日月さんとのアレを経てスッキリして帰ってきた水心子が例の『しばらく私の思うようにやらせてもらえないだろうか』からの、経緯や予定の説明ゼロで『清麿、ついてきてくれないか』とか言い出すんだけど(これ、何も事情を言わないくせにこれを言うのは清麿への信頼っていうかさすがに水心子の甘えを感じるんですけど!!いいですけど!最高ですが!)
情報ほぼゼロでも『ああ、もちろん!』って頼もしい二つ返事をするとこが強い
その後の各時代訪問でもただ淡々と水心子に同行してる形になるんだけど、居るだけでも必要ってことだし公式設定で定評のある清麿さんの腕っぷしに信を置いている感じでもよい…

エンディング後の水心子くんが満月を見られるようになったシーン、認識を整理しながらかなりフワッとしてることを一生懸命言ってる様子だったのを清麿さんがただただ「うん、うん」ってだけ強めに言ってたのも対話の相槌というより独白を応援してるみたいでよかった
作中あれだけ清麿にも何も言ってこなかったのでこの場面でも清麿わけわかってない可能性あるし、
序盤には水心子がフワッとしたこと言ってたことを豊前桑名に笑い飛ばされるシーン(古い映画のとこ)がわざわざあったんだけど、
ここで聞き役として受け止められる清麿の器を強調してるんじゃないかと思う

序盤のてんえどデュオの清麿パート、まず一人になってから『水心子…』ってつぶやいて歌い始めるし歌詞が水心子へのデカ感情ってかんじなんだけど、
とにかく二人の視線が合わないし位置も並び立つことがない

下段で歌った清麿が上段に現れた水心子を見上げたあと、
回転台の端っこどうしに立って、清麿は水心子を見つめてるけど水心子くんは一生懸命歌ってる
そのあと清麿が『踏む地があればこそ居場所見失える』と示した地上に水心子が降り立つ
刀を振って舞う水心子を上段から見守りながら『隣でいつも見てるよ』って届いてなさそうでも歌う
もうこの4分でもう最高が詰まっている

自分の存在が揺らいでいる水心子にとって、
清麿さんの『いくら迷子になろうと僕が探し出すよ』『君はそこにいる』って全部必要な言葉
歌パートで示される気持ちが物語上でどう存在してるかわからないけど、
清麿がそんなこと言ってくれてるのに『例え一人でも行くだけ』だなんて水心子は歌うし、
伝わってなくても、自分の言葉で救われてくれなくても、清麿さんは本当に構わないと思ってる気がする
水心子が『この心が求めてる』ままに一人で歩いて行っても、ちょっと後ろから『なにを見つけたのかな?』って見守ってると思う

『水清ければ魚棲まず それでいい』に対して『心あれば魚も棲むかもしれないよ』って希望を差し出せるのは
水心子の優しさを知っていて信頼している清麿さんだからだと思う

ハア…何の話してたんだっけ…ハア…ライブパート観るか…

グリーティング

ゲーセン水+麿

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